当時のオートバイは、極端なことをいえばエンジンキーでなくてもエンジンがかかったりしました。何でもいいというわけでもないのですが、同じ種類のオートバイの鍵ならうまくするとかかってしまいましたし、マイナスドライバーを鍵穴に強引に突っ込んでひねくり回すとエンジンがかかったりしました。最悪の場合は、キーボックスを破壊して直結です。それで一時期、借用する、つまり盗んで乗り回し、ガソリンが尽きるともとの場所に返すといったことをしていました。
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乗り飽きると最初に停めてあった場所に戻しておくのが仁義のようなものでしたが、若気の至りとはいえ、ほんとうに申し訳ありませんでした。俺にはいまの暴走小僧たちを糾弾する資格がないのです。一九七〇年代初頭、CB750がでだしたときですが、あるとき、盗んだCB750で京都に行きました。CB450では遠出するのに不安がありました。いつ壊れるかわかりませんでしたから。やはりCB750は、世界初のナナハン。ちょっとすごいオートバイだと興奮しました。高速は使わず、というか仲のいい友人とふたり乗りで行ったので、高速道路に入ることができず、ひたすら国道を走っていきました。地上を走る乗り物の頂点、いちばん速い乗り物を運転しているわけですから、もう王様になった気分でした。友達は免許を持ってないので、ずっと俺が運転していました。いたずらで運転させようとしたけれど、すぐにこけてしまいました。ナナハンは脚も満足につかないし、やっぱり当時の年齢と経験、体格では重く、大きすぎました。急加速をしたりすると、まるで丸太ん棒に乗って濁流を下っているような気分ですね。だからよく無事に京都まで着いたと思います。