エジプト、ギリシアの時代から王や豪族は一方的に決めたルールに反した住民を取り締まり、裁判にかけて厳しく罰する権限を持っていました。それは強権政治と呼ばれ、住民はそれを恐れて独裁を許してきました。日本でも太平洋戦争まではオイコラ行政とか、ベカラズ行政という強権政治が行われ、国民から思想や言論の自由を奪ってきました。特に内務官僚と呼ばれる警察行政と直結した役人はその権限を振り回して、時の体制に反対する者を不逞の輩と称して弾圧してきたのです。さいわい戦後、民主主義の世の中になって、それらはなくなったかにみえますが、国民の福祉に反するとか、公序良俗に反するとかという名目でむしろその権限は拡大されようとしています。廃棄物についても、生ごみにハエ、ネズミ、ゴキブリなどが発生して、伝染病の媒介をするというので、厚生省がその収集、処理、処分を所管し、多少の私権の侵害があっても取り締まることとし、その収集、処理、処分の方式を決める権限を持つようになりました。日本では抗生物質やワクチンの開発で、一九五五年ごろには伝染病はほとんど一掃されましたが、いったん手にした権限を縮小しようとはせず、一層厳しく規制するようになったのです。