ビジネスパーソンにとって、肩書き、つまり会社における役職名は気になるものだが、これはどの程度、自分の「資産」なのか。一五年くらい前までなら、日本のサラリーマンは、月給が五万円下がっても、課長になれるなら、課長の肩書きの方を選ぶだろうと言われていた。責任が増えて報酬が減るのではやっていられないとも思われるが、毎日の気分の良さを一日二〇〇〇円くらいで買えるなら(土曜日も働くものとして計算した)悪い話ではない、と思う人が多かった。
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現在でも、官庁では、役職でそれほど大きな年収差がつくわけではないが(だからこそかもしれないが)、役職には大いにこだわる人が多い。かつての日本の組織は、肩書きを上手に使うことによって、あまりお金をかけずに職員のモチベーションを作ってきた。だが、成果主義の考え方の浸透が、この仕組みの有効性を低下させた。肩書きの重要性は、趨勢的には低下している。かつてなら、たとえば「上場企業の部長」と聞くと、大きな権限と社会的な地位を持った人、というイメージが湧いたが、最近では、それほどでもない。私も、少なくとも、他人の肩書きだけを見て、偉い人・凄い人なのだろうとは判断しなくなったし、うらやましいと思亘詞書きというものには、最近お目にかからない。