団地の庭にもあずまや的建築物を設けよう

2011-12-30

私があずまや建築にもっとも期待するところは、団地の庭である。都会のコンクリートのアバートぐらしは、自然と隔絶されて、大地と接触する機会がまことに少ない。建物の棟と棟のあいだには、通常、ひろい団地の庭があるのだが、そこにはせいぜい、砂場やブランコなどの子どもの遊び場がおかれているぐらいで、そのほかには、なにもない草ぼうぼうの殺風景な空間である。ここに、建物の棟と棟とをつなぐ歩廊やパーゴラ(もともとパーゴラは廻廊風になった日よけ棚のことをさす)、日あたりのいい庭の中央には、あずまややアーボア(植物のツタなどをからました日よけ棚のこと。

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いわゆるパーゴラ)などをつくってはどうだろう。そうすれば、雨や日ざしのつよい日の通行のおおいになるし、団地の庭やそれらのおおいの下を、人びとの休息や社交の揚として、ひろく利用することもできる。なんのおおいもない無味乾燥な団地の庭では、雨や日ざしのほかに、人びとの窓まどからの視線にもたえられず、人はそそくさと庭をたちさって、ふたたび自分のマイホームにとじこもらざるをえない。団地や一般の住宅地には、ときどき、鉄骨にビニールの波板をふいたカーポートなどがあって、雨の日にはちかくの女の子たちが、そこでままごとなどをしてあそんでいるのをよくみかける。それはいわば一種のあずまやである。このような車庫で、子どもたちがあそぶのもいいが、ちゃんとした藤棚やパーゴラ、あずまや風の施設などが、もっとあってもいいのではないか。それらのうちの多くは、かつて、「雨の国」の日本がうみだしたすぐれた生活空間だったのだから。