住宅版PL法(製造物責任法)さえあれば大丈夫、という単純な話ではない。むしろ背景には、悪徳商法にも似た構造が見え隠れする。たとえば、かつて純金サギ商法で日本中を騒がせた豊田商事事件(一九八一年から八八年)。運悪く豊田商事に騙され「純金ファミリー契約」を結んでしまった被害者たちは、欠陥住宅の被害者同様、当初はまったく救済の手だてが見つからなかった。それもそのはずだ。豊田商事事件に限らず悪徳商法のほとんどは、法律の網の目をかい潜って生まれてくるからである。
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金融なら金融でその道に詳しい専門家や弁護士が業者側にはちゃんとついていて、最初から法に触れないことを前提に悪徳商法が考え出される。だが、それでも豊田商事事件は一応の解決をみた。何故か?マスコミがこの問題に注目して騒ぎが大きくなり、それが最終的には悪徳商法という消費者事件として扱われたからである。被害者の大半が一人暮らしの老人という弱者だったこともあり、世論は「これはサギだ」と断じて許さなかったのだ。巨大化し、資金も権力も備えた住宅メーカーなどからみれば、欠陥住宅の被害者も豊田商事事件の独居老人と同じ、状況的には立場の非常に弱い個人である。しかも、彼らに社会的な落ち度があったわけでもない。強いてうかつと言うならば、唯一の非はどの被害とも業界の悪しき慣行やなど知らない、建築の素人だったということぐらいである。しかし、それがいけないという国は世界中探しても見当たらない。「業者のやり得」が現実にまかり通る国など、先進国中、日本ぐらいのものである。