「平成不況」が長びく中で、メディアなどがしばしば「終身雇用制は崩壊するか?」などといったテーマで特集を組んだり、番組を編成したりしているが、事実を承知していればそもそもそうした問題のたて方そのものが問違っている事を知るハズである。なぜなら制度といえるような終身雇用ははじめから日本には存在していないからである。それだけではない。日本では実態としても終身雇用は存在していないといわざるを得ない。先にもふれたが、日本の労働市場の歴史を顧みると、解雇や雇用調整が大規模に行われた時期が少くない事に気づく。第二次大戦後の復興・再建は主だった企業の大量解雇からはじまったと言っても過言ではない。そうした大企業の人員整理に対して、労働組合は解雇反対闘争を組織し、労使対立が尖鋭化したのである。大規模な雇用調整は第一次石油危機につづく一九七〇年代後半にも行われた。日本経済の成長軌道が石油危機を契機に大きく下方屈折したため、基礎資材や生産財産業がとりわけ大きな需要削減に直面し、大規模な産業調整が不可避になり、多くの産業が生産能力の削減を余儀なくされ、雇用調整を行わざるを得なくなった。高度成長期に大きく成長した造船業がこの時期の数年間に二〇万人の正規従業員を六万人にまで削減せざるを得なかったのは象徴的である。
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